それはまだ眼鏡屋で働いていた時の話
どしゃぶりの雨の日、ほとんど客足がなく
お店にいたのは私と先輩(現在は眼科医)の二人で
「しょうがねぇなぁ、これじゃ客も来ねぇし、休憩するか」
と言って、お店の前の自販機で缶コーヒーを買ってきて
お店の2階の前面ガラス張りの真っ白な室内で
私の持ち込んだCDを聴きながら、店の前を通り過ぎる車を
ソファに座って眺めていた時のこと
突然先輩は静かに話し始めた。
「お前もさ、そろそろ先の人生考えたほうがいいぞ」
「俺の彼女さ、おそらくあと4、5年で目見えなくなるんだ」
「その前にさ、俺がなんとか勉強して彼女の目を治してやろうと思ってるんだ」
そう言って先輩は缶コーヒーを一気のみし、ゴミ箱へ投げた。
話を切り替えるように、突然
「この曲いいな、もう1回かけてくれよ」
私は連続再生ボタンを押してソファに戻り
先輩と2人で何故か涙を浮かべながら
通りをずっと眺めていた
そんな遠い記憶が蘇る秋の夕暮れ
You're Beautiful.You're Beautiful
It's true.
テーマ:生き方 - ジャンル:ライフ
- 2010/10/10(日) 16:10:52|
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杏奈さん、こんばんは。
私も先輩のことを陰ながら応援したいと思っています。
医学の進歩に期待して
未来のこの世界が
色とりどりの綺麗な世界であったならば
きっと先輩の彼女さんも喜ぶことでしょう。
- 2010/10/12(火) 19:52:27 |
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- tomo #-
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こんにちは、tomoさん
ふと昔のことが思い出される時ってあるわよね・・・
彼女の目を治してあげたい・・・
その志・・・嬉しいわね
医学薬学は日々進歩しているから希望は持ち続けていたいわ
- 2010/10/11(月) 16:06:34 |
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- 杏奈 #-
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